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世界の古城が蘇る|アダプティブリユースが生む新しいラグジュアリー

近年、建築に「アダプティブリユース(Adaptive Reuse)」という手法を取り入れたプロジェクトが増えています。
具体的には、歴史的な建築物を保存するだけでなく、現代社会に「適合(adaptive)」させ「再利用(reuse)」するというものです。
本来の役割を終えた建築物の歴史性を保護しつつ、都市のスラム化からの転換や社会変革を促進させるこの手法は「空間のアップサイクル」とも呼ばれ、世界的に注目を集めています。

昨今では閉鎖されたロンドンの発電所が近現代美術館へと生まれ変わった「テート・モダン」や、南アフリカのケープタウンの歴史的な穀物貯蔵庫をリノベーションした南アフリカ最大の美術館「ツァイツ・アフリカ現代美術館」などが話題を呼びました。
その他にも旧教会をビール醸造所や集合住宅にコンバージョンするなど、さまざまな再利用プロジェクトが新たな文化空間を生み出しています。

↑南アフリカの「ツァイツ・アフリカ現代美術館」

アメリカ建築家協会元会長のカール・エレファンテ氏が 「最も環境に優しい建物は、すでに建てられているものである」 という有名な言葉を残しているように、アダプティブリユースは建築物を一旦解体して新築するよりも環境への負荷が少なく、サステナビリティに通ずる手法としてますます発展するでしょう。

そこで今回は、ヨーロッパに点在する中世の古城を舞台に、アダプティブリユースの事例をいくつかご紹介します。

ロワールの古城に息づく、庭園とアートの融合

古城の代名詞といえば、フランス最長の河川、ロワール川流域。
この川の水面に映るのは、中世の精粋を集めた城々のシルエット。

シノンやシュノンソーをはじめ、王侯貴族の夢の跡が今も息づくユネスコが認めた「王の庭」は、ただの石と歴史ではありません。
城や館のオーナーたちが狩猟を楽しんでいた19世紀の社交界の華やかさは、現代になってもそのエレガンスを引き継ぎ放ち続けています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの終焉の地となったアンボワーズ、ルネサンス建築を代表するシャンボール城と、その間をつなぎ、川を見守る貴婦人のごとく優美な姿を見せるショーモン=シュル=ロワールのショーモン城。

世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に含まれるこの古城では、歴史ある優雅な城とクリエーティブな庭園を見事に活かし、25年以上の歴史を誇る「国際庭園フェスティバル」を開催しています。
毎年異なるテーマを設けて、世界中から造園家や庭園デザイナーを招待することでこの地に新たな命を吹き込みました。

また、2008年に始まった「アートシーズン」は古城と現代アートが融合し、それぞれの空間にひとつの世界観を創り上げています。
例えば礼拝堂ではゲルダ・ステイナーとヨルク・レンツリンガーが制作した常設の作品が目を引きます。
ショーモンの庭園で摘んだ植物、葉、種、ドライフラワーなどを使った空中庭園のような幻想的な光景は、現代アートのインスタレーションそのものといえます。

ドメーヌ・ド・ショーモン=シュル=ロワール
https://domaine-chaumont.fr/ja

↑ショーモン城にある礼拝堂のアート作品

古城の一棟貸しでプリンセス気分を味わう滞在

次にご紹介するのは、古城を一棟借りでき、プリンセス気分を満喫できる「シャトー ド サン マルトリー」。
1520年代に建てられたルネサンス様式の美しさを誇り、ガロンヌ川の畔に建つ古城。

ここは、1998年に現在のオーナーが500年の歴史を持つ古城のリノベーションに着手し、守衛の部屋は大きな暖炉のあるダイニングルームへ、礼拝堂だったスペースは機能的なビジネスセンターへと生まれ変わり、庭には近代的なスイミングプールも新設されました。
このような体験は決してフランスに限るわけではなくオックスフォードの「ジ・オールド・パーソネージ」やスコットランドの「インバーロッキー キャッスル」なども古城ステイが堪能できます。

シャトー ド サン マルトリー(Chateau de Saint Martory)
https://saintmartory.com/

13世紀の技術で城を築く、壮大なプロジェクト

最後に、古城についてより深く理解したい方におすすめの城をご紹介します。

フランス、ブルゴーニュ地方にあるゲドロン城は「13世紀の建築技術のみを使って城を完成させる」というコンセプトのもと、建築技術が発展した21世紀において当時を再現し、ほぼ手作業で建設しています。
さらに建築様式だけでなく生活も13世紀風を貫いており、当時の服装に身を包み、畑を耕し、家畜を育て、小麦を手作業で挽いて手作りの釜でパンを焼いて食事をしています。
そこには、まるで13世紀のフランスを訪れたかのような、ファンタジックな感動があります。

ゲドロン城
https://www.guedelon.fr/en

古城を未来へつなぐ、という夢

古城の魅力は計り知れません。
世界には購入可能な古城が数多く存在しますので、お気に入りの土地でお気に入りの古城を購入し、アダプティブリユースすることも夢ではありません。

お気に入りの土地で、お気に入りの古城を手に入れ、新しい物語を紡いでいく——。
そんなロマンあふれる選択肢も、これからの時代のラグジュアリーなのかもしれません。

不動産会社 Savills
https://search.savills.com/com/ja/list/castles-for-sale/france

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text & creation  西田理一郎