今日は何飲む?日本酒にしよう!|Experience|SAISON Luxury Lounge
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Wine&SAKE lab

株式会社日本酒にしよう

今日は何飲む?日本酒にしよう!

日本酒のサブスクリプションサービス「日本酒にしよう」を運営する「株式会社日本酒にしよう」CEOであり、きき酒師でもある高岡麻彩さんの、日本酒にまつわるエピソードをシリーズでお届け。ここでしか買えない限定日本酒もご紹介!

Episode1 -庭の木と日本酒の関係-

カーテンから漏れる朝のやわらかな日差しに目が覚めると真っ先にすることといえば、庭の草木を見に行くことだ。日課になっている。と言ってもそんなに広い庭を持っているわけではないのだが…猫の額ほどの小さな畑に約20種類の果物や野菜、観葉植物などを育てている。

3年前から育て始めた、葡萄の木は蔓を伸ばし背伸びしても届かないくらいに成長した。夏野菜といえば、トマトやなすが浮かぶが、それらも春から育て始めメキメキと大きくなってきた。よりよく実をつけてもらうために、剪定をすることの楽しみと言ったら言葉では表せないほどだ。そして、毎年、甘夏の木にはのっそりのっそりと葉っぱの上を歩く黄緑色の可愛い存在を忘れてはいけない。アゲハ蝶の幼虫であるあおむしが今年も来てくれたようだ。美味しい実を食べたい私からすると、葉っぱをたくさん食べられてしまうので、害虫となるのだが、私はこの可愛い存在を毎度愛でている。そこにはとある理由があるのだ。それは底なし沼の如く、私が日本酒の魅力にはまってしまったことに起因している。

具体的に理由を述べる前に軽く私の自己紹介をしよう。

私は年に2,000銘柄以上の日本酒を試飲し、50蔵ほどの酒蔵へ見学に行っている。そしてありがたいことに審査員なんかもすることがあるので、朝ごはんが日本酒、なんてこともざらにある。こんなことを聞くとただのアルコール依存症なのではないか、と言われてもしょうがない(笑)しかしそれを凌駕するほどの日本酒の魅力と言ったら。。。日本酒を飲みながら流した涙の数は数えきれない。

日本酒は“エモい”存在だ。美味しいのはもちろんだが、その背景には計り知れない「何か」がある。それに気づくまでにさほど時間はかからなかった。

日本酒との出会い

私が日本酒に出会ったのは、約6年ほど前。京都は酒処と言われるほど日本酒を多く造っているエリアでもある。しかし、私が育った場所はサントリービールウイスキー工場がある大山崎という場所だったので、身近な存在はビールやウイスキーだった。そのため、日本酒の存在はほとんど知らずに社会人になったのである。大学を卒業し、新卒であるIT会社に就職をし、東京に出てきた。8年くらい経ち、東京の一人暮らしの生活にも慣れてきた、そんな折日本酒に出逢った。

当時酒好きの友人に連れられて入った小洒落た和食店。薄暗い店内に一枚板のテーブルカウンター。1升瓶の日本酒が所狭しと並ぶ冷蔵庫がある赤坂の飲食店で、背中に電流が走るほどの美味しい体験をした。日本酒をオーダーすると、木の枡に入ったグラスになみなみと日本酒を注いでくれた。日本酒をこうやって飲むのだと初めて教えてもらったのだが、ひとくち口に含んだ途端、まるで青々と草花が生い茂り、綺麗な小川が流れる場所にワープしたような気分になった。日本酒はこんなにもフルーティーで爽やかなお酒なのだとそこで初めて気付かされた。たまたまその友人もジョークで「日本酒のソムリエの資格を取得したらこれから全部日本酒を奢ってあげる」そんなことを言い始めたのだ。私はそこで単純なのだが、この言葉を鵜呑みにしてしまった。すぐに勉強をし始め、学校に通い、3ヶ月後にものの見事に資格を取得していたのだ。振り返ると、「どこまで邪念で溢れているのか」、と絵文字で言うと汗が出ている状態だが、今ではそのきっかけに感謝しかない。因みにこのきっかけを作ってくれた当時の友人が今の夫だ。公私ともに日本酒に導かれた私は、さらに日本酒の世界に入り込み、酒蔵へ訪問することが増え、蔵人とリアルに会話する機会が増えていく。

日本酒に込められた熱いストーリー

日本酒は純米酒の場合、水と米と米麹で完成されたシンプルな飲み物で、発酵の力を借りてお酒となる。そのため蔵人たちは、見えない菌を扱い、菌たちの働きをフォローすることによりこだわりの1本へと仕上げていく。「自分の子供みたいに酒造りをしている」「見えない菌を扱うから1日の98%は掃除だ」と言ったのは蔵人の言葉だ。毎日同じことを繰り返し、飲む人が美味しいと笑顔になることを妄想して、日々鍛錬研鑽を積んでいる。急に酒蔵を継ぐことになった彼は苦労も葛藤もあっただろう。昔ながらの酒造りをやめて、新しい酒造りをすることを決意した彼女は相当の勇気と試練があっただろう。都度蔵に赴き、私は、生の声に耳を傾ける。目をキラキラさせて話す蔵人たちの熱いパッションにはいつも心を動かされる。

わたしのお気に入り

その中で私が愛してやまない酒がある。それは、愛知県・岡崎市にある、二匹のうさぎがモチーフの「二兎」というブランドを持つ、丸石醸造の酒だ。

三河〜愛知のエリアは昔から食の文化の宝庫であり、みりん、醤油、味噌など発酵食を昔から造っているエリアのひとつだ。江戸時代後半、お酒の産地といえば、関西だった。そのころ兵庫の灘・京都の伏見のお酒は大阪の港から江戸までを船で運搬していたそう。その途中に寄っていたのが知多エリアである。その時「お酒を運ぶ仕事だけではなく、自分たちも酒を造って売ろう!」と考え、そこから知多の人々の酒造りがスタートした。

酒造りでは副産物で酒粕が出てくるので、その酒粕を活用して造ったのが粕取り焼酎。その焼酎で仕込んだのが、のちの三河みりんの特徴へとつながっていく。そんな特徴を持つエリアで、この丸石醸造はかつては日本酒に加え、味噌や醤油なども醸造。さらには紡績を行うなど大きく事業展開を行なっていたという。しかし昭和に入ると太平洋戦争で岡崎も激しい空襲に見舞われる。蔵を消失するなど、丸石醸造も大きく被災してしまった。戦後、一部残った味噌蔵を酒蔵とし日本酒造りのみを行う蔵として再出発する。

二兎を追わないもの二兎を得ず

「二兎を追うものは一兎も得ず」と言うことわざを聞いたことがあるだろう。しかしこの逆説的意味を持つ「二兎を追わないもの二兎も得ず」と言う言葉は実に面白い。この言葉には深い意味が込められているという。昨年2023年に創業333年を迎えた丸石醸造。「生類憐れみの令」で有名な徳川綱吉が5代将軍として江戸川幕府を治めた時代に丸石醸造は酒造りをスタートした。地元岡崎で作られているお米「萬歳」をはじめ、「雄町」、「愛山」などのお米を活用した酒造りをしている。二兎の意味を丸石醸造・18代蔵元の深田英揮さんに聞いてみたら、「甘みも酸味もあって、でも後味も良い」と言うコンセプトを大事にしているという。これは、一つのの味わいだけでなく、あれもこれも、と言う複雑さを持つお酒を造りたいと言う想いからできたブランドなのだそうだ。だからこそ「二兎」と言うブランド名がついているのだ。実際に酒蔵まで伺った際にこの「二兎」が持つ複雑さの背景には、杜氏の日々の品質を保つ知恵や努力があることをリアルにビシビシ感じたのである。今では、「二兎」のブランドを知っている人も増え、日本酒は飲食店でも重宝されている。深田さんは今から10年前にこのコンセプトの日本酒を造り、国内外に伝え続けてきたのである。今、その努力が着実に根となり、芽となり、葉となり、実をつけたのではないだろうか。

そう、日本酒は「エモい」のである。そしてその日本酒は、甘みも酸味も苦味も、さまざまな味わいがあるからこそ良いのである。私が伝えたかったのは、この両極にあるものが交わり共存するからこそ、より良いものが生み出される=調和が生まれることにつながるのだということだ。

冒頭に書いた、あおむしを愛でる理由はここにある。昔だったらすぐにあおむしを駆除していただろう。しかし、「二兎」に込められた大切な部分から、あおむしが葉を食べてくれることで、木の剪定をする必要がなくなり、より実がつきやすい形にしてくれているのかもしれないと、一つの方向からではなく、多面的に物事を見て、立体的に考えられるようになったのだ。

あおむしは可愛いだけではないのである。何事も両極あるから良い。調和が取れ均衡が保たれる。だからこそ、見える世界があるのだ。

ぜひ一度、「二兎」の日本酒を手に取ってほしい。

SAISON Luxury Lounge 限定販売日本酒

2024年8月31日(土)までの限定販売!ここでしか買えない「二兎」をこの機会にぜひお楽しみください。

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